今回は、会計参与の実務についてお伝えします。

計算書類の作成

「中小企業の会計に関する指針」に則って

計算書類を作成するのが

会計参与の第一の職域(会社法374)です。

経営者によっては

「職業的会計人だったら、計算書類を作成できて当然。

ましてや、会計参与なら尚更」

と、この職域をあまり高く評価しないようです。

しかし実は、

中小企業においては、会社法に従った適法な手続きのもと、

適法な計算書類を間違いなく作成できる会計人は少数です。

裏を返せば、会計参与を引き受ける会計人には、

それだけの能力ないし自信があるということです。

情報の備置き・開示

いわゆる情報開示、これが会計参与の第二の職域(会計法378)。

計算書類などを会計参与の事務所に5年に渡って備置き、

取引先や金融機関などの閲覧請求に応じることが必要です。

すべての会計参与にとって、これは初めての体験です。

5年間も「会計参与設置会社の営業時間内は、いつでも」

開示に応じなければならないとの法定(会計参与378②)は、

当初は会計参与側に大きな心理的負担を与えました。

なお、この職域に関しても、企業側は当然と考える傾向があるようです。

開示の軽視あるいは無視には、

長年の悪しき慣行があると言わざるを得ません。

経理担当の役員

実務を積み重ねるに従って、3番目の職域が

設置会社のメリットになることがわかってきました。

会計参与が企業のいわばCFOとしての役割を期待される

ということです。

会社法で初めて、役員の定義規定が設けられ(会社法329)、

会計参与は役員であると明記されました(同①)。

当初はずいぶんと戸惑いが見受けられましたが、

時を経るに従い、その重みが認識されるようになりました。

この制度の創設に関わったある会計人は率直に

「役員としての役割がこんなに重要になるとは

思っていなかった」と語っています。