中小企業政策審議会の第2回企業力強化部会が、七夕の7/7(木)開催された。

金融支援について

最初は「金融(経営支援と一体的な取組み)について」。

有識者からのプレゼンの後、

・中企庁より「金融と経営支援の一体的な推進」

・金融庁より「地域密着型金融の推進に関する監督指針の改正」

との説明を受け、自由討議。

中小企業版の新会計との関係

金融と経営支援の一体的な推進について、たたき台として示された「目指す方向性」が、中小企業版の新会計との関係で注目される。

目指す方向性のなかで

・SMEの経営力強化のためには、SMEの財務を明確にして、リスクと可能性を明らかにしていくことが必要ではないか

・SMEがリスクと可能性に対応した合理的なファイナンスを供与される仕組みが必要ではないか

・金融機関が担保や保証への過度の依存から脱却し、SMEとの間で適度な緊張(規律)関係を保ちながらコミュニケーションを取ることによって、事業ニーズと資金供給がマッチングすることが可能となるのではないか

・SMEの経営力の高度化、資金調達の高度化を図ることにより、金融における好循環なサイクルが定着する仕組みが出来るのではないか

などと指摘されているが、これは中小企業版新会計の活用に重要な示唆を与えるものである。

具体的イメージ

上記を受けて、具体的なイメージとして

・地域一体型の自立的な支援メカニズムを作り出すことが極めて重要

としたうえで、

1.SMEの財務経営力の強化

2.地域金融機関に対する経営支援強化への動機付け

3.支援機関と金融機関の連携強化/人材育成

の3点について触れている。

1.財務経営力の強化

このうちSMEの財務経営力の強化については

・新たな会計ルールの整備・活用

 →期中管理することで財務内容の透明性確保、経営状況の把握等により、経営力・資金調達力の強化及び長期安定的なリレーション構築につながる

・自らの経営状況(PL,BS等)や資金繰りへの説明能力を高める

 →経営状況を把握させるとともに、説明能力向上により、新たな事業展開等につながる

と基本的なイメージを示していることが注目される。

事務局がイメージする中小企業版新会計の位置づけがうかがえる。

2.地域金融機関に対する経営支援強化への動機付け

2点目の金融機関に対する動機付けについては

・改正された監督指針の着実な実施

 →コンサル機能を発揮し、より的確できめ細かなソリューションを提案し得る。また通常の支援機関機能に加え、金融支援を含めたSME支援の実施につながる

 →経営支援を自らの本業として位置付ける動機付けにつながる

 →中小企業者から適切な経営状況の説明等を受けることで、効率的な資金供給につながる

・金融支援と経営支援を一体的に行う取組(リレバン)を推進する仕組みの構築

と注目すべき方向性が示されている。

3.支援機関と金融機関の連携強化/人材育成

会計人にとって注目すべきはこの内容か。

・支援機関と金融機関の連携強化

 →ネットワーク構築することで、現場経験を通じた能力の向上、ノウハウの共有につながる

・高度、専門的な支援人材の育成

 →金融機関のコンサル機能の補完的な役割を果たす

 →支援人材の専門性、支援実績等の見える化を行い、人材の質の向上を図る。それに伴い、新事業活動や販路開拓といった高度な経営支援の実施につながる

このように目指すべき方向性・具体的イメージが示された。もちろんこれは部会の議論のためのたたき台・資料ではあるが、こうしたことを咀嚼しながら今後の方向性を考えることが重要。

 →中政審企業力強化部会第2回 配布資料

(続く)